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遍路ころがしで転がる

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2011年08月25日 訪問日:2011年08月24日
12番札所 摩廬山焼山寺


いよいよ徳島最大の難所、焼山寺の遍路ころがしに向かう。
時刻は午前7時40分。
納経所のおじさん、見送りに来てくれた男性に挨拶をし、山道に足を踏み入れた瞬間、物足りなさを感じた。
大切なもの、そう、金剛杖を忘れていたのである。
慌てて納経所のところまで戻ると、見送ってくださっている二人が大爆笑。「おいおい大丈夫かなぁ~」と今後の私をかなり心配している。
自分でも心配である。
気を取り直し山道へ。ゆっくり確実に階段を上がる。丸太の階段やむき出しの土、かなり足元が悪い。
前日雨が降っていたせいか、先に行った人が滑ったと思われる靴跡がいくつもあった。無数のお地蔵様が見送ってくれている。いわゆる花道だ。
10分ほど登ったところで休憩している可愛い女子大生に出会った。軽く挨拶を交わして先に進む。
何かの本で、登山は歩数を刻んでゆっくり休まず歩くと良いようなことが書いてあった。登山には慣れてないため、一歩一歩ゆっくり休まず進む。
一応、30分に一回休憩しようと決めていた。
予定通り30分後小休止をとる。前方にあの優しい男性の後ろ姿が見えた。
5分ほど休憩し、また歩みを進めた。この頃から少し体調に変化が出始める。
めまい、動悸、そして吐き気だ。医療機能の付いた時計の血圧計が200を超え警告音が鳴り始める。歩みを進めるにつれ吐き気が酷くなって立っていられなくなった。
座る所もないので脇の草むらにビニール袋を敷いて座り込む。二度会ったイケメン3人組みが目の前を颯爽と登り去る。時刻は午前8時30分、まだ一時間くらい登っただけだ。
朝ご飯は食べていない、昨夜も眠れなかった。そして何より大病を患い、病院通いをしている身体だった。やばい…いろんな事が頭をよぎる。ここで倒れたら他のお遍路さんに迷惑がかかる。皆さんやっと時間を作ってスケジュールを組み遍路をしている。きっと助けてくれるだろうが、大切な時間を私の為に使わせてはいけない。
無理をしてでも頑張って登るか、下山する体力がある内に勇気を持って今日は諦めるか。
ここまで来たのに…とても悔しい。とにかく警告音がなり止むかどうか暫くじっとしていることにした。
10分ほどすると先ほどの女子大生が来た。彼女も私の横に座り込む。気分が悪いようだ。
私は益々吐き気が酷くなり、尋常じゃないくらいの冷や汗がぽたぽた流れるように落ちはじめた。脱水症状のようだ。
危険を感じたので、下山することを選択した。彼女に「私は体調が優れないので下山します。気を付けて先に進んでくださいね」と言うと、一緒に降りてもいいかと聞かれた。
彼女も寝不足で吐き気がすると言う。
二人して下山することにした。すると彼女から徳島駅まで行くと焼山寺の近くまで行くバスがあるからと提案があった。諦めていないようだ。
完全歩きで進みたかったが、二人とも焼山寺の先に宿を予約していたので、何とか進みたかった。彼女の素晴らしい案に一つ乗ることにした。
下山途中、地元の老人衆に出会い、「逆打ちお遍路さん」に間違えられた。どう見ても顔色の悪い軟弱お遍路なのに、苦笑いでやり過ごす。
十一番札所の納経所に戻る頃には吐き気はあるものの、体調も少し良くなっていた。まだ少しなら歩けると踏んだ。
納経所のおじさんが私達を見て驚いていたので、「遍路ころがしで転がって帰ってきました」と言うと、また爆笑された。
タクシーを呼び、急いで鴨島駅に戻り徳島行きの電車に乗る。徳島駅からバスに乗り換え約一時間、寄井中という集落に着く。そこか1日に数本しかない町営バスで15分、焼山寺まで徒歩3.3キロという場所に到着した。時刻は午後1時20分、急いで坂道を上り始める。結構急な坂道だ。上りながら、十一番札所から焼山寺までを徒歩でやり直そうねと彼女と約束した。あくまでも歩きで結願したい二人なのだ。来年3月(彼女の大学の休み)に登ることを約束した。区切り打ちの特権だ。
10分ほど歩くと一台の車が止まって私達を呼ぶ。近づいてみると、おじさんが焼山寺まで車のお接待をしてくださると言う。
彼女と顔を見合せる。二人の考えは同じようだ。
車に乗り込み一気に十二番札所へ到着。呆気ないものだった。
立派な仏像が立ち並び、堂々たる風情のお寺が頂上にそびえ立っていた。
お参りを済ませると、お車接待のおじさんが宿まで送ってくれると言う。彼女と再び顔を見合せる。やはり考えは一致した。また車に乗り込み宿に直行。時刻は午後2時半だった。
今日出会った彼女も、車接待のおじさんも、もしかしたら大師様だったのかもしれない。もうダメだと思った瞬間、いろんな偶然、出会いがあった。すべて助けられている。
こうして私の山越えは第一段は幕を閉じたのだった。

 
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次回は歩いてこの景色を見たい

次回は歩いてこの景色を見たい

案山子 2011年08月26日 コメントNO:96

やはり遍路転がしはキツいみたいですね。
体調は大丈夫ですか?
多分年齢も私と同じくらいと思いますが他人事に想えなく心配しています。
私もプロフィールに書いていますが病気じゃなく入院していて体力的に心配しています。
だけど山で倒れている時に一人じゃなく良かったですね。
無理をしないでゆっくり休んでください。
毎日更新楽しみにしています。

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なすび猫 2011年08月26日 コメントNO:97

案山子さんへ

いつも見て頂いて、本当に心強く、嬉しいです。ありがとうございます。
体調は徐々に戻りつつあり、今日はこの旅初めて三食ちゃんと食べることが出来ました。また経過を日記にしたためますね。

私の日記、長くて嫌になりませんか?1日にたくさんのことがあり過ぎて、厳選しきれない優柔不断な私です。それなのに目を通してくださって、感無量です。
案山子さんは大変な骨折をしてリハビリを兼ねてのお遍路だと知りました。
お互い歳?なので健康には気をつけましょうね。
私も周りに迷惑かけないよう、この先も歩み続けたいと思います。

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