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長い道のり長い日記

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2014年03月31日 訪問日:2014年03月28日
24番札所 室戸山最御崎寺


最御崎寺

平成26年3月26日
昨夜はうみがめ荘で、北海道のおじさま二人と夕飯をご一緒させていただき、初のビールをぐびっと飲んでしまいました。
やはり、旅にビールは付き物です。むふっふっ。

今日は朝から雨。
しっかり降っています。
ポンチョを装着し、午前7時出発。ひたすら国道55を歩きます。
交通量がものすごく多い国道、車が通る度に水しぶきが舞い、一キロも歩けば下半身はびちゃびちゃ。
トラックやバスに至っては、通過する時の風がすごくて、水しぶきを巻き上げながらポンチョと菅笠が大きく波打ち、飛ばされそうになりました。
沿線には民家も無いため、誰にも会いません。ひたすら足元を見ながら11キロ歩きました。
下ばかりみているので、時々電信柱や標識にぶつかりました。もちろん、痛いのです。
この国道は右側を歩くのがポイントです。
遍路道が国道から右に逸れ、民家まばらで静かな道に入ると小松大師があります。
小松大師でお経を唱え、立ったまましばし休憩。
もうここまで来ると服の中は汗だくで暑く、ポンチョから染み込む雨水は冷たいので、どうしていいのか精神的に分からなくなってきます。

虚ろな意識で歩いていると、鯖大師まで後二キロ地点で、先達の辻さんが荷物のお接待をしにお友達と駆けつけて来てくださいました。
今夜の宿まで荷物だけ先に運んでくださるとのこと。
会うなり「顔が悪い」と言われました。
聞き直すと「顔色が悪い」でした。
耳まで雨でやられたようです。
ありがたくお願いし、身軽になり、鯖大師に向かいます。
鯖大師には参拝客は誰も居らず、雨の中ひっそりとしていました。
ゆっくりお参りをし、納経をしていただくと、納経をしてくださったお坊さまからお茶のお接待がありました。

宿に向けてまた歩き出します。
身軽な私は途中三人の歩き遍路さんを追い越しました。
荷物が無いと途端元気になる私は、やはり単純です。
途中、『フクナガカフェ』でランチをしようと思い入ると、地元の方々がビールを飲みながらカラオケをしているところでした。席はほぼ満席。
珈琲喫茶だとすっかり思い込んでいたのでびっくり。
でも、後には引けません。
ママさんが「さあさあ、中へ。ココに座って」と、カウンター席を勧められました。
おじさん達の間を、手を前に出し、ごめんなすって状態でペコペコしながら通り抜け、カウンターに座ります。
デジャブーなのか、前回の遍路旅でも同じようなことが、、、。
直ぐにカラオケの音楽が流れ出し、演歌が流れ歌い出す。
ママさんと話をしたくても、ほとんど聞こえませんでした。
カレーを注文し、食べ終えると珈琲とお菓子のお接待がありました。
カラオケおじさんから、一曲歌ってよ?と勧められましたが、冷えて疲れた頭と身体はそれどころではありませんでした。ノリ切れず、申し訳ないことをしました。

午後3時、やっと辿り着いた今夜の宿は、遊遊NASAふれあいの里。
先ゆくお遍路仲間から、評判の良い宿だと連絡があったので予約しました。
フロントの女性はいつも笑顔、レストランの係りの方も気配り完璧。
お部屋も広くて綺麗で、何より部屋におトイレ、お風呂が付いていました。

ところが、この宿には何度か会ったことのある歩き遍路のおじさんも居たのです。
このおじさん、お酒が大好きで話が長?いのです。
最初の宿で話し掛けられ、根気強くお話を聞いていましたが、お酒を飲みながら食後一時間以上遍路武勇伝が続くので、シラフの私にはかなりの苦行でした。
今夜は何とか捕まらないよう工夫しないといけません。
夕飯の時刻午後6時。戦闘開始です。
レストランに下りていくと、既に晩酌を始めていました。
幸い席はちょっと距離のある違うテーブルだったので、軽く会釈してひと安心し、私も食事をしようとすると、遠いテーブルから話し掛けてくるのです。
食べようとすると話し掛けられ、食べようとすると話し掛けられの繰り返し。
食べるタイミングが大変でした。
お料理は手の込んだとても美味しいものでした。温かいものは温かく次つぎと食事の進み具合をみて出されます。
食事を終え、席を立つとおじさんが「あんたは食べるのが早すぎる。もっと食事はゆっくり味わうもんだ。」と言われてしまいました。
アルコールも飲まず、一時間かけて食べた夕食です。
一日中雨に降られた事より、疲れました。


3月27日
今日は晴れ。
窓の外には朝日が綺麗に登って行くのが見えました。
午前7時、フロントの方に鍵を渡すと、おにぎりのお接待がありました。
お礼を言い、軽い足取りで出発です。
今日は長い海岸線をひたすら32キロ歩くルートです。
先ず目指すは14キロ先の東洋大師。
黙々と歩いていると、一台の車が横にとまり、手招きします。
地元のおじさんが文旦2個をお接待してくださいました。
文旦は大きく、重いのです。
朝ごはんを食べたばかりなので、ここで食べるわけにもいかず、左手で抱えるようにして歩き続けました。
東洋大師にお参りした時、お供えさせていただこうと思い、休憩無しで歩きます。
時刻は午前10時半、国道から東洋大師のある遍路道に入ろうとした時、乳母車を押すおばあちゃんに出会いました。
おばあちゃん、挨拶すると話し始めます。
「一人で歩いとるんかね、それはそれはご苦労さんじゃね。わたしが若い時には、、、、、、」
おばあちゃんは乳母車を押しながらひたすら話し続け、東洋大師への遍路道を通過し、国道をどんどん進んで行くのです。
せっかく話し掛けてきてくださったのに、話を切ってしまうのも申し訳ない気がして、しばらくおばあちゃんとゆっくりゆっくり話しながら歩きました。
ひとしきり話し終えると、おばあちゃんは野根のバス停あたりから街中に帰っていきました。
すっかり通り越してしまったので、東洋大師は諦めこのまま先に進むことにしました。
もちろん、文旦は腕の中。左手はもう痺れておかしくなっていました。

次はここから10キロ先にある佛海庵。
野根の港にある最後の自販機でお茶を買い、歩き続けます。
真夏を思わせるような海から照りつける太陽。
完全に日焼け日和です。
菅笠を深くかぶり黙々と、ひたすら歩きました。
時刻は正午を過ぎた頃、やっと佛海庵に辿り着きました。
歩き続けて足元はフラフラです。
佛海庵は昨年新しく建て替えられ、綺麗になっていました。
中に入り、文旦をお供えしてお接待してくださったおじさんの無病息災をお願いしました。
お参りを済ませ、外に出ると、杖をついたおじいちゃんが一生懸命佛海庵敷地の落ち葉の掃除をしていました。
誰が放っておけるでしょうか。
「おじいちゃん、私もやります!」
腕まくりして竹ぼうきで加勢です。
二人で落ち葉をかき集め、燃やす場所まで運び終えると、おばあちゃんがやってきて、
「お遍路さん、忙しいのにありがとう。助かったね、おじいちゃん。」と話しながら、冷たいお茶をお接待してくださいました。
おばあちゃん、おじいちゃん、ご近所の方と談笑しなが宿でいただいたおにぎりを食べることにしました。

一息ついたので、またザックを担いて出発しようとすると、おばあちゃんが、みかん、トマト、お菓子をパンパンに詰めた袋をお礼だと手渡してくださいました。
今さっき、文旦を手放したばかりでしたがありがたく受け取り、痺れの取れた左手に抱え、再出発。
フラフラになりながら、今夜の宿、民宿徳増に午後2時に到着したのです。
女将さんに、3時には少し早いけどいいですか?と伺うと
「お疲れ様、この時間ならまだ先に行けるね。ちょっと歩いてきたら?」
一瞬固まってしまいましたが、女将さんが続けて
「行ける所まで行って、迎えに行ってあげるから。明日もそこまで送るよ。」
なっ、なんと!
「いってきまーす!」
単純な私はザックを置き、再び歩き始めます。
海沿いの道をまたまたひたすら真っ直ぐに。
結局、宿から9キロほど先にある海洋深層水研究所まで歩き、宿に電話すると、女将さんは買い物に出てしまい、留守番のおばあちゃんしか居ませんでした。
西陽を浴びながら30分、ひたすら迎えを待ち、宿に帰ると、食事の長?いおじさんが同じ宿に居たのです。
案の定、夜の苦行続行です。


3月28日

今日も快晴。
久しぶりの札所に向かいます。
女将さんに海洋深層水研究所まで送っていただき、午前7時20分海沿いの長い道のりを歩きだします。
昨日は40キロ歩き距離を稼いていたので、気持ちの余裕がありました。
景色を眺めながら、海風を感じ、午前8時15分御蔵洞に到着。
お参りを済ませ、納経所の女性とお話ししながら珈琲休憩。
今日は長閑です。
御蔵洞の上の石が少し崩れて参拝客に運悪く当たってしまい、左側の洞窟が立ち入り禁止になっていました。

ここから500mで遍路道は山道へと入ります。
急な上り坂をえっちら、ほっちら、ゆっくり上り、午前8時55分3日ぶりの札所最御崎寺に到着しました。
まだ人出は少なく、静かな境内。
本堂、大師堂でゆっくりお参りをし、納経も無事終わりました。
納経所の横にある自販機で、二年ぶりにリアルゴールドを買い、腰に手を当てて一気飲み。
今日は一日暑くなりそうです。

 
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波待ちのサーファー。雨だけどたくさんいました。

波待ちのサーファー。雨だけどたくさんいました。


鯖大師の鯖像とお接待のお茶。ゆっくり休憩ができました。

鯖大師の鯖像とお接待のお茶。ゆっくり休憩ができました。


フクナガカフェのカレー。ちょっとピリ辛でお腹の中から温まりました。雨で冷えた身体にありがたいランチです。

フクナガカフェのカレー。ちょっとピリ辛でお腹の中から温まりました。雨で冷えた身体にありがたいランチです。


遊遊NASAを出発。お天気が良い朝は気持ちいい!

遊遊NASAを出発。お天気が良い朝は気持ちいい!


海沿いの国道にもいろんな花が咲いていました。

海沿いの国道にもいろんな花が咲いていました。


最御崎寺まで25キロ

最御崎寺まで25キロ


ここを右に入ると佛海庵

ここを右に入ると佛海庵


文旦二個の次は、、、

文旦二個の次は、、、


ひたすら海を見ながら歩きます。国道を歩くのが飽きてきたので、堤防の上を歩くこともありました。

ひたすら海を見ながら歩きます。国道を歩くのが飽きてきたので、堤防の上を歩くこともありました。

ちひろ 2014年03月31日 コメントNO:793

うさぎさんへ

なるほど~ 歩くだけの修行だけでは無く 宿に着いても修行が待っているのか お遍路は常に修行なのですネ でも 一番辛い時に来て頂いた『荷物のお接待』 やはり うさぎさんは誰かに見守られているようです 時々 僕は疲れたり 距離のある所を歩く時 下を見ながら歩く事が有ります 前を見ながら歩いていると まだ先まだ先と飽きてくるんですが 暫く下を見ながら歩き 少し頭を上げて前を見た時の不思議?もうここまで来たのかという錯覚が 嬉しい 僕だけ? でも やはり交通安全と頭をぶつけない為には 前を見て歩かないとダメですね!  

katch.ne.jp

おコン 2014年04月01日 コメントNO:796

お疲れ様でした、うさぎさん
僕もビール大好きです。
しらふで一時間はキツイですね(ToT)
僕なら、いつか見たメジロのように狸寝入り始めます。でも、うさぎさんには無理かな。

spmode.ne.jp

北海道のおじさん 2014年04月01日 コメントNO:797

 うみがめ荘で一緒になった、北海道のおじさん二人組の、髪の淋しい方の一人です。自宅に戻り徳島の歩きを整理中です。うさぎさん、今頃はどの辺りでしょうか、昨年の高知の遍路を思い出しながら、うさぎさんの歩きを想像しています。天気によっては、歩きは厳しい日もありますが、女性一人の遍路旅では宿での対応も苦労がありますね。気を付けて、進んで下さい。 

plala.or.jp

うさぎ 2014年04月01日 コメントNO:798

ちひろさん
前を向いて歩く、大切な事ですよね。
でも、時には下を見て歩くことがあっても良いのかも。
考えながら、ふと前を見た時、知らない間にたくさん進んでいたりすること、私もありました。
そして、道端の小さな花なんかも、下を向いて歩いていた時に、ふと目に止まって和む事もあります。
ただ、私のように電信柱にぶつかると危ないので、要注意ですけど(笑)

宿での苦行はよくあります。
ホテルではない民宿や旅館では、洗濯の順番待ち、お風呂の順番待ち、みんなで一緒にいただく夕飯の時間厳守など、一人歩きでも団体行動、共同生活のような時間もたくさんあります。
それが楽しい時もあれば、辛く感じることもあって。
でも、そこも歩き遍路の醍醐味だし、私にはいろんな勉強になります。
一日一日が日々修行です。

au-net.ne.jp

うさぎ 2014年04月01日 コメントNO:799

おコンさん
暑い日のビールは格別です!
なーんて、そんなにたくさんは飲めませんが(笑)
若い頃は二日酔いも怖くなかったけど、初老の私は翌日が歩けなくなるので、注意しないと?。

狸寝入りの技、ぜひ今回の旅で習得したいと思います^_?☆

au-net.ne.jp

うさぎ 2014年04月01日 コメントNO:800

北海道のおじさん さん
お疲れ様でした。
疲れは取れましたか?

数日間でしたが、ご一緒できてとても楽しかったです。
お二人が健脚過ぎて、一緒に歩いて良いか、ご迷惑をかけてしまいそうで、お願いすることが出来ませんでした。
でも、最後の夜に楽しい食事をご一緒出来たこと、よい思い出になりました。
あれから雨に何度も降られ、ずぶ濡れになりながらも、何とか歩いています。
現在、36番青龍寺を打ち、足摺岬に向けて突き進んでいます。
明日からも頑張ります。

au-net.ne.jp

かもしか 2014年04月01日 コメントNO:801

修業を積んで心が清廉になりましたね~!
毒が無くなっちゃった?(笑)

毎日毎日新しい発見と冒険を積み重ねてゴールを目指してね。

aitai.ne.jp

玄田 2014年04月01日 コメントNO:802

お疲れ様でーす。
すごいですね、もう半分位、来ちゃいましたね。
そして、長ーい日記を有難うございます。
やっぱ地図、回したく成りますね、予備知識無しで、現場に立ったら、迷う気持ちが、よくわかりました、長い道を地図とグーグルのストリートビューで、うさぎさんを追いかけました、すごく良く分かって楽しいこと、有難うございます。
明日は、岩本寺ですね、そして又、長道だね、o(-`д´- o)ガンバレー!

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うさぎ 2014年04月01日 コメントNO:803

かもしかさん
まだまだ修行中の身、毒も吐きます(笑)
そうですね、なんだか旅と言うより、私の場合、冒険がピッタリかも。
冒険も二週間になりました。
長い長い道のり、まだまだ難はありそうです。
ぎゃんばるぞぉ?!

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うさぎ 2014年04月01日 コメントNO:804

玄田さん
地図、届いたのですね。
私は方向音痴で、地図を見るのが苦手。
地図を回し、自分も回りながらいつも迷っています。
昨日も二度も道に迷い、工事現場の方に慰められながら道を教えていただきました。
まったく違う方向に突き進む自分が恐ろしです。

日記、長くて自分でも読み返す事が面倒でしていません。
誤字脱字、わけのわからない文章、お許しください。
地図に書いたメモと、記憶を頼りに、実際にあった事、感じた事をそのまま書いていますm(_ _)mお見苦しい?

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