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待ち伏せ

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2014年02月04日 訪問日:2012年09月18日
58番札所 作礼山仙遊寺


長閑な道を少し歩くと坂道が見えてきた。
その先は山道なのか、斜面に木々が生い茂っているのが見える。
いよいよ仙遊寺へ向かう上り坂だ。
少し整備された坂道をぐんぐん上がると山道が見えてきた。
山道の入り口に人影が見える。
荷物は持っていないようだ。
中年の男性で、こっちを伺うようにしているので、ちょっと怖くなる。
周りには誰も居ないどころか民家も無い。
怖いなぁ、つぶやきながら恐る恐る近づくと「すみません」声をかけられた。
怖かったが軽く会釈して「おはようございます」挨拶をしてみた。
すると「写真を撮りたいのですが、いいですか?」とおっしゃる。
「ああ、いいですけど…」怖いので声がだんだん小さくなる。
山道を歩くところを撮りたいから少し先の山の中へ一緒に来て欲しいと言う。
指さすその道は、仙遊寺に続く一本道だ。
仕方がないので、恐々ついて歩く。
この方、今治市内の写真館のご主人で、休みの日は遍路写真を趣味で撮っているらしい。
女性の歩き遍路にはなかなか出会えないので、ぜひにと言う。
程なくして山道で指示されポーズをとる。
菅笠を被って一枚、お杖を前に持って一枚。
菅笠をとって斜めに一枚。
10回ほどポーズを指示された。
撮影終了後、仙遊寺方面に一緒に上がり、車道に出たところで名刺とお接待だと1,000円をいただいた。
現金はお断りしたが、気持ちですからと言う。
この先女性の一人歩きはいろいろ危険もあると思うから、十分気を付けてと見送ってくださった。
この出来事、遍路旅で三本の指に入るくらい怖かったんですけどー。
いい人で良かった、ほっと胸をなでおろしながら再び仙遊寺に向けてキツイ上りの車道を歩き出す。

アスファルトの車道から遍路道は足場の悪い山道へと延びていた。
一気に山道を登りきると58番札所の仙遊寺が現れた。
時刻は午前9時40分、既にバスで来ている団体遍路さんが20名ほどお参りをしていた。
落ち着いてお参りが出来るよう、おトイレ休憩を先にすることにした。
おトイレから出てくると、車遍路の男性から声を掛けられた。その方の車はなんと名古屋ナンバーだ。嬉しくなり、名古屋から来ていると話すと、男性も知多半島から来たと興奮気味に話しだす。
納札を交換し、しばらくお互いの遍路話をしながら冷たいお茶で喉を潤す。

ザックを抱えて釣鐘の下で休憩していると、男女の歩き遍路さんに出会った。東京から来た田中さんと長野から来た五反田さんだ。
それぞれ一人歩き遍路さんで、宿坊に泊まっていたらしく、朝のお勤めが長かったと話していた。その後境内を散策してゆっくり目の出発らしい。
先に行きますと声を掛けていただいたので、また会いましょうとお互い手を振って別れた。
団体遍路さんにも「偉いわねぇ」「頑張ってね」とご声援をいただき、ちょっと照れながら本堂でお経を唱えようとすると、団体さんは私のお経の出来栄えを聞こうとじっと後ろから見ているではないか。
間違えないよう緊張しながらもお経を唱え終え、家内安全を祈願した。
大師堂では写真館のご主人の無病息災をお願いした。

久しぶりの登山に疲れ果てていた私は、しばらく休憩することにした。
このお寺、宿坊が有名らしく、足湯や温泉もあり、説法も聞きごたえがあるらしい。
機会があれば泊まってみたい宿坊だ。
納経所のところに売っている仙遊寺Tシャツも気になる。
しかし今夜の宿は横峰寺に近い宿にしたい。まだまだ歩かなければならないので荷物は増やせない。我慢も修行だ。
そうこうしている間に団体遍路さんが次々到着する。
時計を見ると午前10時20分を過ぎたところだ。
頑張って先に進むことにした。

 
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登ることに一生懸命で、写真が一枚しかありませんでした。久しぶりの山道に膝が震えました。

登ることに一生懸命で、写真が一枚しかありませんでした。久しぶりの山道に膝が震えました。

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