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もしや、カタギじゃない?

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2012年04月30日 訪問日:2012年04月12日
51番札所 熊野山石手寺


しばらく住宅街を歩き、再び県道40に戻る。
だんだん道路は広くなり、交通量も増えてきた。
すっかり冷えきった身体は、歩いても歩いてもなかなか温まることはない。
大きな交差点を渡ると正面に巨大なお寺が現れた。
51番札所石手寺だ。
これまで見てきたお寺の中でも群を抜く大きさだ。
正面右手にじゃこ天のお店がありとても気になっていたが、寒くていつものように寄り道している気力が出ない。
山門前には古いお土産物屋さんが立ち並び、今までのお寺とはかなり様子が違うようだ。
お土産物屋さんを突き進むとでっかい山門が現れた。
深々と一礼して中に入る。
広い敷地内にはいくつもの古いお堂が建ち並ぶ。
どれが本堂で、どこに大師堂があるのさっぱりわからないのだ。
おじさま達にくっついていき、お参りを済ませた。
濡れた手で触るものだから、お経本は既にずぶ濡れでぶよぶよ。お線香もシケシケなのだ。
極めつけは納札が濡れてしまい、字が滲んで大きく波打っていた。
両手はふやけてシワシワ。
納経所に行き、ふやけた手で納経をお願いした。
お守りを見ていたら、不敗守りという珍しいお守りがあった。
訴訟でいつも夫が勝てるように不敗守りを一つ買うことにし、ここでもずぶ濡れになった千円札を使わせていただいた。
時刻は正午を回ったところ。どこかで昼食をとることにした。

少し戻った所に中華料理店があったのを思い出し、みんなで向かった。
店内にはちょうどテーブル席が空いており、四人で座ることが出来た。
お店の方に、全身濡れていることを告げ、カッパなど濡れている物の置き場所を確認した。
店内に入る前に、ポンチョを脱ぎ、菅笠、ザックを下ろす。
雨水を入念に切り、席に着いた。
雨の日はこの作業が大変なので、独りだとなかなか休憩する気にならないのだ。
ましてや、濡れた身体ではお店の方にもご迷惑を掛けてしまう。
私と井田さんはランチ、女大師様と松田さんはラーメン餃子を注文した。
そして極めつけはお約束のビール攻撃だ。連日連夜飲み続けている。
私にもついでくださったが、寒くてなかなか飲めなかった。
美味しそうな料理が次々に運ばれてくる。
お遍路旅始めての中華料理。
まずは温かいスープで温まる。
大盛りごはんに、唐揚げと酢豚の盛り合わせがやってきた。
みんなでつつき合いながら美味しくいただいた。
おじさま二人がすべてお接待してくださった。

今夜の宿は道後温泉本館近くのにぎたつ会館だ。
このまま道後温泉本館でお風呂に入ってから、宿に入ることにした。
身支度を整えていると、店内のお客さんが「頑張ってくださいね」と私達に声を掛けてくださった。
騒がしい遍路に優しい声を掛けてくださるとは、心の広い方達だ。
お礼を言いながら中華料理店を出ると、店内が暖かかっただけに、更に寒さが厳しく感じた。
ガタガタ震えながらポンチョを装着していると松田さんが
「大丈夫か?寒いか?」
心配そうに声を掛けてくださった。
「だいじょうぶでふっ」
本当は全然大丈夫ではない寒さだが、痩せ我慢して大きな鼻声で答えてみる。

ひたすら歩き、別の宿である女大師様とお別れし道後温泉本館へと入った。
1200円のお菓子付き入湯券を購入し、玄関でポンチョ装備一式を外す。
ずぶ濡れの靴下を脱ぎ、足のテーピングもすべて外し、タオルで綺麗に拭いて入館した。
二階席に通され荷物を置き、係りの方にお風呂へ案内していただいた。

この前に、荷物の置き場所でおじさまと係りの方との間でゴタゴタがあったが、詳細は恐くて書けないので直ぐにお風呂に入ったことにしておこう。

お風呂は水深が深く、狭い。
浴室には私を含め7人入っていたが、この人数が限界であろう。
他の方にシャワーが飛ばないように、気を配りながら全身を洗い、湯船に中腰で入る。
うっかり座れば頭まですっぽり沈んでしまう深さだ。
団体で来ていたおばさまが危うく沈みかける。みんなで、深いわねぇーと盛り上がった。
長湯しているとおじさま達を待たせるといけないので、早々に脱衣所へ。
冷えきって震えていた身体が暖まり、乾いた洋服に着替えるとやっと落ち着くことが出来た。
髪を簡単に乾かし、おじさま達が待つ休憩所に向かった。
既に上がってお茶を飲んでいる。
私も席につき、お茶とお菓子をいただく。周りを見渡すと、牛乳が売っていた。
やっぱりお風呂上がりには牛乳でしょ?と言いながら牛乳を買い、飲んでみる。すごく美味しかった。
ザックの荷物を整理し、私の様子を伺うおじさま達に準備オッケーサインを送る。
館内見学が料金に付いていたが、早く宿に入って落ち着きたかったので、お断りし外に出た。
新しい靴下を履いたため、ビニール袋を両足に被せてから濡れた靴を履いた。少しの距離ならこの方法はかなり有効である。
玄関でポンチョを装着し、宿までゆっくり歩いて10分弱。
今夜のお宿のにぎたつ会館は教員共済のデッカい建物だった。
時刻は午後3時40分。
チェックインして、各自部屋に入る。
部屋は広く快適だった。
ザックからすべての荷物を出し、濡れた物を乾かした。
ポケットのお札をソファーに並べて乾かす。
靴にはフロントでいただいた新聞紙を丸めて詰める。
そしてコインランドリーに行き、洗濯をした。
部屋に戻り、友達から来ていた20通ほどのメールを見ながら、途中買ったお饅頭をほおばる。
今回の遍路では、毎日三個以上のお饅頭を食べている。
高橋仙人からいただいたお饅頭以降、癖になったのか食べないと落ち着かないのだ。
そう思いながら、夕食前なのに五個も食べてしまった。
終わったかどうか洗濯機を覗きに行くと、井田さんが洗濯待ちをしていた。
直ぐに取り出し、乾燥機に入れる。
洗濯機の前の長椅子に二人で座り、缶ビールを飲むことにした。
おつまみも買いプチ飲み会開始。
井田さんは口数が少ないが、いつもニコニコ笑って私を見ている。
趣味がバイクと言うこともあり、話に花が咲く。
そして、お子さんのお話をしてくださった。
いろんな心配事があるようだ。
ひとしきり話して、二人で井田さんの部屋に行くと松田さんがいびきをかいて寝ていた。
今日は一日中雨だったから、疲れが出ているのだろう。
お二人は通しで3月中旬1番からスタートし、この道後温泉まで歩き続けて来られた。
私はたった一週間歩いただけで、既にクタクタだったので、お二人の凄さを身を持って感じた。
すると松田さんが急に目覚め、私が持っていた飲みかけの缶ビールを奪い、飲み干してしまった。
「あー!私のビールなのに?」
ブーッと膨れっ面をする私を見て、お二人が笑っていた。

午後6時、夕食をいただく。
お料理がたくさん出て来た。
教えてくださったお遍路さんが、絶賛していた通りだった。
三人で生ビールを注文し、乾杯をした。ワイワイ楽しく食事をする。

ここでも、ウェイターの男性とゴタゴタがあったが、詳細は恐くて書けないので、楽しく飲んだことにしておこう。

とかく、松田さんは女性には優しい。
理不尽、デリカシーがないのが許せない性分だ。
女性に対して粗相があると恐いのだ。
何より、が体がデカく見た目がとっても恐いのだ。
オマケに声も低く関西弁で話すため、もしや?!と思わせる。
しかし、後日この二回のゴタゴタで怒ったことを私が指摘し注意すると、松田さんは素直に反省していたので、思わず笑ってしまった。

食事を終え、各自部屋に帰り早目に就寝した。
私も寒さでかなり体力を消耗していたため、今夜は隠し持っていた睡眠薬を飲んで寝ることにした。
明日は、いよいよ今回区切り打ち最終日である。

 
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