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ハシゴ修行

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2012年04月29日 訪問日:2012年04月09日
45番札所 海岸山岩屋寺


44番札所大宝寺を打ったところで時刻は午前11時。
もう昼時のため、徳島のお二人がどこかで早めの昼食を取ろうと話していた。
お坊さんは宿で作っていただいたおにぎりを持っていたが、みんなで一緒に食べませんかと誘い、四人で坂道を下った所にある飲食店に入ることにした。
途中、遍路グッズも扱う商店で四万十のお水を一本買ったら、手作りのお饅頭を五個もお接待してくださった。
国道に出るが、お寺近くの唯一の飲食店は定休日であり、他の飲食店は少し離れており遠回りになる。次の札所へ行く道にはないようだ。
そこで公園の東屋で、私の持っていた蒸かしパン四個入り、先ほどお接待して頂いたお饅頭を川原さんと、辻さんに食べて頂くことにした。
お坊さんは、宿で作っていただいたおにぎりを二個持っていたのでそれを食べることにした。
男の人には少し軽過ぎる昼食となってしまったが、我慢していただくしかなかった。

軽い昼食を終え、再び歩き出す。
国道から住宅街を抜け、また国道をしばらく歩くと、遍路道は川沿いの畑へと続いていた。
そして徐々に山道へと入って行く。
枯葉積もる山道を一列になり歩いた。
今夜の宿である古岩屋荘の標識に従い歩みを進め、午後3時には宿に到着し、先にザックを預かっていただくことが出来た。
身軽になり岩屋寺へアタックだ!
すると前方からお遍路さん三人組がこっちに歩いてきた。
松田さん、井田さんそして白いお髭を蓄え真っ白なハンチング帽を被った高橋仙人だ。
私が大きく手を降ると、三人が応えて手を振り替えしてくださった。
高橋仙人に手を合わせ合掌、井田さんと笑い合い、松田さんと軽くハグして再会を喜んだ。
さぁ、私達も頑張って岩屋寺に向かわねば。
ヒーフー言いながら歩くこと30分、やっとお寺の下まで来た。が、最後は長い階段が待っていた。
思わす見上げて口があんぐりなる。頑張れお遍路なのだ。
階段入口で女大師様に再会した。
既にタクシーで乗り付け、岩屋寺を打ちタクシーで宿に向かうと言う。
さすがに卒が無いテキパキとした姿には、同性ながら惚れ惚れするのだ。
入れ違いに階段を登る。
すると突然お坊さんが階段を駆け上がり出した。
何が起こったのか全く分からなかった。
お坊さんは走るのに一生懸命なのか、お香入れを落として行った。それをお参りを終えて降りてきた老人が拾ってくださり、お坊さんに呼び掛け、慌て走り追いかけてくださったが、お坊さんは全く無視して走り去る。
すかさず川原さんが、疲れきった老人から落し物を預かりお礼を言っていたので、私もすれ違う時に申し訳ありませんとお礼を言う。
更に階段を上がると今度はタオルが落ちていた。
拾ってみると、私達が昨夜泊まった宿のタオルだ。
間違いない、お坊さんが落としていった物だ。
二人して顔を見合わせ、「ん?っ」と首を傾げた。
ここで、辻さんからのアドバイスがあり、先に納経しておくことにした。
納経所は本堂の少し下にあり、私達は帰り道が本堂より上に向かうため先にしておいた方が良いのだ。
掟破りであるが、得意の先に納経攻撃に出た。
そして、私を娘のように心配してくださる秋田の友人のご両親のために、お不動様のお守りを二つ購入した。
更に階段を上がり、やっとのことで本堂に辿り着いた。
大宝時は岩肌に食い込むように建っており、厳しい修行にはピッタリの風貌だった。
思い思いにお参りを済ませる。
本堂では家内安全を祈願、大師堂では秋田のお父さんの足の怪我の治癒、お母さんの健康を祈願した。
ここで、名古屋から来たダンディ水谷さんに遭遇した。
お会いするのは三度目だ。ダンディ水谷さんとは今夜の宿が同じと判明。
夕食を一緒に食べようとお誘いしてくださった。
大師堂横には木製のハシゴが崖に掛けてあり、登ると法華仙人堂跡
があるらしい。
何だかよく分からなかったが、バカと私は高い所に登りたくなる性分だ。
勇んでハシゴを登り始めるが、真ん中まで行った所でハシゴがきしみ揺れたため怖くて諦めた。
それを二人の観光客らしいおじさんが見学していて、「頑張れ?」と応援してくださっていた。
私が諦め降りて行くと、「ほれほれ、頑張って登ってみてよ」と他人事のようにおっしゃる。
誰か登ってくれないと、怖くてダメですと言い訳していると、男川原さんがスイスイ登って私をサポートしてくださった。
おかげで無事上まで登り、引け腰になりながら記念撮影をした。
とってもいい記念になったのだ。
是非、みんなに登って欲しいと思う。これも修行の一つだ、たぶん。

帰りは本堂の横から山道を上がると、鎖の修行場があった。
一遍上人も修行したと聞いたことがあった。
しかし、詳しくは知らない。そう、私は無知だ。
辻さんによると、鎖に捕まり、ぶら下がりながらお参りするらしい。かなりワイルドなお参りの仕方だ。
入口には鍵がかかっており、登りたい人だけ納経所で鍵を貸してくださるそうだ。
そこまでは勇気がないので、柵の間から写真だけ撮り満足して先に進むことにした。
思ったよりも長い峠道を進む。
歩けど歩けどアスファルトの道路に出ない。
登ったり降りたり登ったり下りたり、登り始めたのが午後4時を回っていたため、日が暮れかけた薄暗い山路を歩くことになった。
でも、前後に知っている人が居てくれるため、安心感がある。
辻さんは心臓のご病気を抱えている。下りはとても早いが、登りは心臓にかなり負担がかかるらしく苦しそうにゆっくりゆっくり歩んでいる。
朝よりも顔色が悪いようでずっと気になっていた。
それでも歩いて遍路をしている根性と遍路への思いに感銘を受けた。
時刻は午後6時過ぎ、やっとのことで宿まで1キロの所に到着し、ベンチに座って辻さんと川原さんを待っていると、川原さんが先に降りてきて辻さんに水を飲ませたいが持っていないか聞かれた。
私は岩屋寺を出る時に既に飲み干してしまっていた。
誰も飲み物を持っていない。
病人にとって水分は命取りだ。
特に心臓や内臓疾患を持っている人にとっては体内水分が体調を左右することは、身を持って知っていた。
辻さんに何かあったら大変だ。顔色が悪かったのを思い出した。
居ても立っても居られなかった。
頭の中がクルクル回る。
幸い宿にザックを預けてあり身軽だ。
たしか、宿の入口に自販機があった。
標識には片道1キロ、往復2キロだ。
行ける!
身体が自然と動いて走り出していた。
山道を無我夢中で走った。
お不動様の前を「辻さんにお水を早く飲ませてあげてくださいね?」と言いながらお辞儀をし駆け抜ける。
途中石につまずき、右足の膿んで腫れている親指を打ってしまったが、辻さんの苦しそうな顔が目に浮かび我慢して走った。
自販機に慌てて小銭を入れるが、こんな時に限って入れた100円玉が戻ってきてしまう。
「ちゃんと認識しなさーい!」
自販機に文句を言ってしまった。
買った水を片手に今来た道を折り返して登る。
息が続かない、体力には自信は無いが、とにかく早くお水を届けたかった。
やっとのことで辻さんに会い、お水を渡すことが出来た。
二人で石畳に腰掛け、ゆっくり飲んで頂いた。
「美味しいなぁ」
辻さんのこの一言で身体の痛みが吹っ飛んだ。
人間は単純である。毎回言うが、単純は私だけかもしれない。
仲良く今夜の宿である古岩屋荘に辿り着いた。
時刻は既に午後6時半を回っていた。

ダンディ水谷さんと一緒にお食事をする約束をしていた時間を過ぎてしまっていたのだ。
慌てて食堂にいたダンディ水谷さんに謝りに行った。
大変申し訳ないことをしてしまった。
部屋に入り、急いでお風呂に入った。
久しぶりに広々とした岩風呂があったが、夕食が7時からと言っていたので時間がなくシャワーだけ浴び、身支度して夕食の席に着いた。
息切れしながらも、ちゃっかりビールで乾杯だ。ビールは川原さんがすべてお接待してくださった。
お昼を軽食で済ませていたので、みんなお腹がペコペコだ。
綺麗に完食した後、ロビーのソファーに集まり二次会をすることにした。実は日中、川原さんとトコトン飲むぞぉ?と約束していたのだ。
川原さんは3歳になる娘さんの話を鼻の下をべローンと伸ばして話してくださった。とても幸せそうで、何だか嬉しかった。
たまに下ネタも交えるところが可笑しかった。

日付変更線が変わった頃、宴は終わった。
明日も早い、寝なきゃ身体が持たないなぁ?と思いながらも、やっぱり眠れない夜を過ごして午前4時に起きるのだった。

 
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