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県境またぎお遍路

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2012年04月19日 訪問日:2012年04月04日
40番札所 平城山観自在寺


午前9時5分、延光寺を後にし歩き始める。
田んぼ沿いの道を国道に向けて歩いていると、道路工事していた警備員さんが「頑張って」声を掛けてくださった。
元気にお礼を言いザックを担ぎ直した。
国道56をひたすら歩き、松田川を渡る。橋のたもとに東屋があったので休憩することにした。
地図を見るとここまで5.8キロ、時刻は午前10時20分だ。
まあまあのペースで歩いて来れた。延光寺でお参りをした後、不思議と親指の痛さが和らいだような気がする。
ザックからクッキーを取り出し食べた。
東屋の近くにはトイレもあり、薬局もあった。今夜の為に、マキロンと包帯を購入した。
宿毛の市街に入り松尾峠に向かう。
午前11時半、峠に入る最後のコンビニに辿りついた。
ローソンだったので、大好きなMACHIcaf'eシリーズのシリアルクッキーとキャラメルタルト、カフェオレ、お茶を購入しザックに詰め込んだ。
いよいよ峠越えだ。
ローソンから峠の頂上までちょうど5キロだ。
宿毛貝塚の石碑を通過し徐々に勾配がキツくなる道を登る。
他のお遍路さんは午前中に登ってしまったのか誰もいない。
山道に入り登ったり下ったり、時折集落に出ては、また山道に入る。三つの集落を通過すると文旦畑が広がっていた。ここからが本当の峠越えらしい。
ゆっくり、ゆっくり登っていく。
親指、膝が次第に痛みを増す。
でも休まず歩みを進めた。
桜や菜花、山桃が満開に咲き誇り、一番良い季節に歩ける喜びも感じたりしてみる。
登り始めて一時間半、松尾峠の頂上に着いた。
ここが、高知県と愛媛県の県境だ。遍路旅、三つ目の県に入ったのだ。
やったー!!!
山々を眺める景色の良い場所で雄叫びをあげた。
ベンチに座ってクッキーを食べようとした時、薄暗い山の中から
バキバキ
うぉ?うぉ?
と奇妙な鳴き声と枯れ木が踏まれ折れる音がした。
振り返るが誰も居ない。
血の気が引いて慌てて走る。
足が痛いどころの問題ではない。きっとお化けだ。
ヤマンバかも知れない。
時刻は既に午後1時を回っていた。お昼過ぎだが、午後の山は暗くて恐いのだ。
小走りで山道を駆け下りた。
山道を脱出し、長閑な田んぼ道に出てホッと胸を撫で下ろした。
あー、怖かった
呟きながらまた歩きだした。
松尾大師に到着し、ザックを下ろしてお参りをした。お経を唱えながら、さっきの鳴き声は何だったのか考えた。
あれは絶対鳥じゃないなぁ
猿?じゃないよなぁ
歩いてた?音がしたよなぁ
邪念ばかりが入る。
お参りを済ませ、遍路シールに従い観自在寺を目指す。
地図を見て、国道56を進むつもりだったが、よく見ると札掛とい所に来てしまった。遍路シールを見ながら県道299を歩くことになった。
アスファルトの山道を進むと、スクーターで山菜を取りに来ていたおじいちゃんに遭遇した。
私の姿を見ると笑顔で近寄ってきたので、挨拶をする。
おじいちゃんは片手にゼンマイらしき山菜を握り締め
「あれあれ、ご苦労様。歩いてるの?ワシも歩いて回りたいが歳には勝てん。こっちの道が昔の遍路道だから行くといい。少し歩くと座って休める場所があるし、トイレもあるからね。」
一気に話してくださった。
お礼を言い、教えて頂いた昔の遍路道を上がろうとすると、私に向かって両手を合わせて拝んでいた。
慌てて私も両手を合わせおじいちゃんに合掌した。
坂道を上がり古い民家の細道を抜けると綺麗に舗装された道に出た。
遍路シールがないので少し不安になるが、これもお大師様のお導き。なにも考えないて風の吹くまま歩こう。
そう思い歩き出すと、確かにお大師様はいたのだ。
脇道から見覚えのあるスクーターが数十メートル前にフラフラと入ってきて、距離を開けて私の前を走る。
時折、こっちこっちと手で合図を送ってくださるではないか。
ちょっと可愛くて笑えた。
暫らく歩くと前方でスクーターが停車し、右手を伸ばし真横を指差す。
そこには真新しい東屋とおトイレがあった。
スクーターのお大師様は大きく手を振りながらフラフラと走り去った。
とっても温かく可愛いお大師様だった。走り去った方に一礼し、東屋で休憩することにした。
ザックを下ろして先ずはおトイレだ。
時刻は既に午後3時を回っていた。
今夜の宿をまだ決めていない。地図とにらめっこだ。
幸い宿はたくさんある。
その中で、観自在寺のそばの山代屋旅館というのがとても気になった。
いつも宿はネーミングとインスピレーションで決めていた。
ここにしよう!
早速電話を入れると、快く受け入れてくださった。電話した時間が遅かったので、食事が取れるか確認すると、お夕飯も大丈夫とのことだった。
現在の居場所を説明し、5時過ぎるかもしれないことを一言ことわっておいた。
再び歩き出す。足は相変わらず痛いが、宿まで後少しの我慢だ。
今回は胸が苦しくならないのが何よりの幸いだ。
遍路道は僧都川沿いを行く。
散歩している方々に挨拶しながら歩いた。
すると前方におじさんがじーっとこちらを見つめ立っていた。
後ろを振り返るが私の他には誰も居ない。
だんだん距離が近づいたので、軽く挨拶をして通り過ぎようとした時、
「すみません、写真を一枚撮らせてください。」
と呼び止められた。
一瞬びっくりしたが、横には満開の桜の木があり、どうやら桜とお遍路さんの構図が撮りたいようだ。
時計を見ると時刻は午後4時15分になるところだった。
観自在寺まで後1.5キロ、一枚なら全然間に合うと思い協力することにした。
おじさんの指示に従い桜の木の下てポーズをとる。シャッターの音がする。
さぁ、終わったと思ったら、おじさんから違うポーズを指示された。
慌てて指示に従う。更にもう一枚、更に更にもう一枚とかなり時間が経ったように思った。
今日は観自在寺は無理かも。これも出会い、運命だと思い諦めかけた時、撮影は終了した。
おじさんはご機嫌で自転車に乗り去って行った。
ザックを担ぎ、無事に終わって安堵しながら歩き出す。
時計を見ると納経所が閉まるまで後30分あった。
これは間に合うかも知れないと思い急ぎ足になる。
途中、ウォーキングをしていた女性に声を掛けられ一緒になって速歩きして、お寺の近くまで案内していただいた。
観自在寺は古く何だか懐かしい感じのお寺だ。
ザックをベンチに置き、本堂で家内安全を祈願、大師堂ではこれまで知り合ったお遍路仲間、お接待してくださった方、応援してくださった方のご多幸と無病息災を祈願した。
そして、スクーターのおじいちゃんがずっとずっと健康で楽しく暮らせるようお願いした。
本堂内にある納経所で納経を済ませた。少し無愛想なお坊さんが納経してくださった。このお坊さん、まだ5時になっていないが、私がさんや袋に納経帳をしまっている最中から、バタンバタンと戸締まりを始めた。
慌てて本堂から出たが、お寺によって優しいところ、冷たく感じるところがあり、少し残念に思った。
ベンチに戻り、ザックを担いだ。
境内で記念撮影をしている私の姿を、遠くからこっそり見ていた歩きお遍路さんがおり、その方が後に一緒に歩くことになる松田さんだと後で知ることになる。

 
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