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田野のお母さん

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2011年09月05日 訪問日:2011年09月01日
27番札所 竹林山神峰寺


東屋で迎えを待っていると、善根宿美園のお母さんが車で迎えに来てくださった。おじいちゃんも一緒にいた。
挨拶とお礼を言い、二人して車に乗り込んだ。宿までは車で20分、宿に着いて驚いた。
新築のおしゃれな一軒家だ。二階の部屋に案内された。寝室、キッチン、冷蔵庫、バス、トイレ全て完備されており、二階を自由に使っていいと言うではないか。
しかも、これから車で北川村温泉というところに連れていってくださると言う。
ザックを下ろし、俗衣装に着替える。お風呂道具を持ち、いざ出発だ。
素泊まりでお願いしていたので、近所のスーパーサンシャインに寄っていただき、夕飯とビールを買い込んだ。
田野町からどんどん山道に入る、お母さんはすごいスピードでコーナリングを攻めていく。
彼と私は右に左に倒れながら、尚且つお母さんのマシンガントークを聞くことになった。
早口で土佐弁が混じっているので、私には六割ほどしか分からない。幸い彼が高知出身だったこともあり、彼がお話しのお相手をしてくれた。
その間も車は猛スピードで山道を駆け抜ける。30分走りやっと温泉に着いた。この温泉、今日まで入泉料が無料だった。
40分後にロビーで会う約束をして、お母さんと私は女湯へ向かった、この後に苦業が待っていようとは知る由もなかった。

浴室に入り、お母さんと隣同士でおしゃべりしながらシャワーを浴びた。
続けてお母さんの背中を洗って差し上げた。するとお母さんが、お気に入りの洗顔料を両手いっぱいにつけ「これで洗うときれいになるけん、目つぶって」私の顔をゴシゴシ洗い出したではないか。息が出来なくて苦しい、たまらず目を開けると「目あけたらいかん」今度は頭からシャワー攻めだ。
洗い場で溺れてしまうかと思った。次はパックである。顔全体に塗り塗りされ、暫く触ることを禁じられた。時間が来るとまたシャワーでゴシゴシ洗われた。よく見ると反対に座っていた見知らぬおばあさんも私にシャワーをかけていた。
続いて体だ。背中、腕ゴシゴシゴシゴシ…もう省略しておこう。
こうして頭の先から足の先まで綺麗になった私達は、露天風呂へと繰り出した。
そして我慢大会が始まる。お母さんのマシンガントークと質問攻めだ。
入浴してから40分は既に経過しているはず、彼が待っているのが気になるが、お母さんは山本リンダのもうどうにも止まらない状態だ。露天風呂に浸かり30分は経っただろうか、めまいがしてきた、我慢の限界だ。お母さんにそろそろ上がりませんかと促し脱衣場へ。ふらふらになった。
彼のもとに行くと、ニヤニヤ笑いながら「長かったね」と言う。だいたい予想はつくようだ「お風呂苦業を受けてきたの」と答えた私は疲れが限界だった。
帰りの車は彼がお母さんのお相手をし、私は静かに揺られて帰ることになった。
宿に着き、洗濯機をお借りしてスイッチを入れてから、お母さんを交えビールで乾杯をした。
私達がスーパーで買ってきたお惣菜に加え、魚の煮付け、サラダ、冷奴など食べきれないほどの料理を出していただいた。
お母さんは骨盤矯正座椅子に短パンのまま足を広げて座り、瞑想後両手を広げて『絶好調!』と叫ぶと病が治ると教えてくださった。
この『絶好調!』が彼と私のツボに入り、大爆笑だ。
これ以降、絶好調という名セリフが私達の合図となった。
洗濯が終わったので、二階に上がり干し終えるころ睡魔に襲われた。人の気配で目を覚ますと、お母さんと彼が様子を見に来てくれていた。
一階に戻り再びお母さんの爆発トークを聞く。時刻は午後11時、彼がそろそろ寝ますと区切りをつけてくれた。
二階に上がりお布団を敷いて、彼と並んで寝ることにした。明日は6時出発、彼を5時15分に起こす約束をして就寝した。
しかし、目が冴えてなかなか眠れず、伊吹ご夫婦やソンちゃん、不良遍路さん、ツヅラちゃんのことを考えていた。
彼が何度も寝返りをうつ。タオルケットがとれて、お腹が丸出しだ。捲れた服を直し、タオルケットを掛けなおす。一時間おきにタオルケットを掛けなおしていた。弟がいたら、きっとこんな感じなのだろうか…気が付くと午前4時半、起きることにした。
定刻に彼を起こして準備させた。
一階へ下りると朝ごはんと、お昼のおにぎり、凍らせたお茶が用意してあった。
本当に親切にここまでしていただいて、どうお礼を言ってよいものやら。
家を出る際、一人2千円ずつお渡しした。少なくて申し訳なかったが、長旅の私達には本当に安くてありがたかった。
お母さんの車で昨日の場所まで送っていただいた。
お礼を言ってお別れをした。
「元気なお母さんだったね」と彼に言うと『はちきん』という言葉を教えてくれた。高知ではチャキチャキ元気な女性をそう呼ぶらしい。
さぁ、私達も元気に歩きだそう「絶好調!」とお母さんの物真似をしながら歩きだした。
2時間ほど歩いたところで彼の携帯がなった。お母さんからだ。
今夜も泊まらないかと言うではないか。でも田野町より先に進まないと予定を大きく狂わせることになる。
そのことを伝えると、これから荷物を預かってあげるから、神峯寺を登って行けるところまで行って迎えに来てくださるというのだ。
彼が私の顔色を伺う。一旦相談するといって電話を切った。私の疲れた顔を見て「やっぱり断ってどこかの旅館に泊まろう」と気遣う。
疲れていたこともあったが、こんなに親切にしていただいたのに、更に甘えて良いのかどうか迷っていると彼に正直に話した。
彼は「甘えてもいいと思うよ、お母さんにお願いしようか。」彼の目が僕に任せておこばいいと言っているように見えたので、今夜もお願いすることにした。
ついでに山下さんに連絡し、お誘いして3人まとめてお願いしたのだ。
近くにパン屋さんがあったので、お母さんとおじいちゃんにクロワッサンとあんぱんをお土産に買った。ちょうどかき氷もあったので食べることにした。
かき氷をボロボロこぼして上手く食べれない彼がとても可愛かった。
お店を出て直ぐにお母さんの車と出会った。ザックを預け、さんや袋だけで進むことにした。
身軽になった瞬間、私達は絶好調だ。雨が降り始め、ポンチョを着て蒸し暑いが、健脚ぶりを発揮し、神峯の麓まで一気にやってきた。お腹も空いていたので、お母さんのおにぎりをいただくことにした。
そして、登山口に向かい登り始めた。いつになく軽快に歩く。やっぱり荷物は少ないに限るのだ。
遍路道で仙人のようなおじいさんに出会った。遍路道の枝や石を掃除しながら歩いてらっしゃるのだ。
挨拶だけ交わして通りすぎたが、おじいさんとは前にも会ったことがある、うまく思い出せなかった。
ゆっくりゆっくり確実に登り、意外に早く二十七番札所へ到着。
本堂から団体遍路さん達が下りてきて、「歩きなの、えらいわね」「頑張ってね」とたくさんのご声援をいただいた。
本堂、大師堂でゆっくりお参りして、納経を済ませた。駐車場にあるドライブイン27で休憩することにした。
そこの売店で、恒例のお揃いストラップを買うことにした。お数珠のちょっと渋いストラップだ。彼に渡して、友情の証とした。
私は金剛杖の持ち手がボロボロだったので、赤く可愛い袋を買って取り替えることにした。取り替えていると、彼が羨ましそうに見ていた「欲しいの?」聞くと「うん」と答える。お揃いの青を買い、付け替えてさしあげた。
真新しい持ち手を握り、雨の上がった神峯山を下る。
気持ちのいい風が吹き、ひぐらしが涼しげに鳴いていた。もう夕暮れ時だ、急いで先に進まなければ。
麓まで下りた唐浜駅で休憩することにした。そこで先ほどの仙人様に再会した。金剛杖は黄金に輝き、白いお髭、古びた格好からは仙人に間違いない。目を閉じると消えてしまうようなお姿だ。
声をかけてみた。二十二番札所から早朝の山道を歩く時に会った方か確認すると、やはりそうだった。
遍路道の掃除をしながら歩いて回っているという。
彼が写真を撮っていいか聞くと、快く了承してくださった。
私がインタビュアー、彼がカメラマン、まるで雑誌の撮影のようだ。
仙人様からお接待について教えをいただいた。
「お接待をする側は、私達お遍路の後ろに大師様のお姿を重ね、お願いや苦しみを取り除いて欲しいからお接待をする。それを無下に断ることは、その方が大師様に見放されたも同然。だから、その方のお話をよく聞いてあげ、ありがたくお接待は受けるべきだ。」
深い、深い意味があるのだと再認識した。
そして輝く金剛杖は、熊野古道で見つけた流木を金色に塗装したものだった。
今にも消えてしまいそうで目を凝らして見ていると、右手に車のキーを握っていた。今どきの仙人様は車で移動するらしい。そして最後に「最近家族がうるさくて困る。それに車で泊まっているとよく警察が職質にくるから嫌になる」仙人様も私達人間のようにご苦労があるようだ。笑顔でお別れを言い、先に進んだ。
道の駅大山まで軽快に歩く。彼は10キロなら走っていける、そう言って健脚ぶりを見せた。とっても楽しい道のりだった。
道の駅に到着すると、既にお母さんが迎えに来ていて、すぐに車で連れ戻されたのだった。

 
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善根宿美園の二階からの景色

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パン屋さんのかき氷

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神峯寺と宮本くん

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宮本君撮影。雨の中の私。

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