作成日:2011年09月05日 訪問日:2011年08月31日
25番札所 宝珠山津照寺
三日ぶりの札所を打ち終え、次の二十五番札所へ向かう。
予定では既に一時間遅れの進行状況だ。
私の金曜日までに三十番まで打ちたい、というキツい希望に宮本くんは一生懸命応えてくれた。
しかし、私の疲れ具合を心配し、彼が野宿は無理だと判断。田野町にある善根宿美園さんという宿へ連絡を入れてくださった。
宿も決まり、歩き出す。
7キロ弱の道程を、
頑張って!
足は大丈夫?
休憩はいい?
もう少しだからね
彼の優しい言葉が私の背中を押す。
私も彼の足が凄く辛そうなので、
足は大丈夫?
新しいマメ出来てない?
と声をかける。
何日も何日も歩き続けた身体は悲鳴を上げているが、何故だか心は穏やかで、とても優しい気持ちになっていた。遍路旅では不思議が起きる。
歩くたび鳴る二人の金剛杖の鈴の音は、お大師様が一緒にいてくださる証なのかもしれない。
暑さは益々厳しくなり、彼の時計にある気温計は34度になっていた。体感温度はそれよりも数度高いと感じた。
時刻は12時48分、二十五番札所に到着した。この時山下さんは少し前に既に到着していた。
本堂へは長い階段を上る。ここまで既に23キロを歩いてきた。足が棒なのだ。彼に励まされ、本堂でお参りし、大師堂でここまで無事導いてくださったこと、宮本くんを私に巡り合わせてくださったことを感謝し、お礼を伝えた。
納経所でご朱印をいただくと、二人が待っていてくれた。
時刻は既に午後1時過ぎ。お寺のすぐ下にあった『お遍路の駅』で鰹のたたき定食を三人でいただくことにした。
荷物を下ろし、菅笠をとる。冷房が効いていて快適だ。
お水がセルフサービスだったので行ってみると、地元のおじさんに声をかけられた。どこから来たの、何番から回ってるの、今日はどこまで行くの…質問は次々に続く。やっと解放され、3つお水を抱え、そーっとそーっと歩いてテーブルへ。
出てきた鰹のたたき定食はとても豪華で800円には見えなかった。美味しくいただき、珈琲が飲みたかったので皆に付き合ってもらい仲良く飲む。
山下さんが「あー、美味しかったよこのインスタント珈琲」と言うので、こういう時は「美味しかったね」だけでいいの、と軽く叱ってしまった。生意気な私はまだまだ修行が足りないのだ。
グダグダ二人でやっていると、宮本くんが薬局に行って絆創膏を買ってきてくださった。私の欲しかったキズパワーパットのビックサイズだ。しかも2箱も。
私も足にマメがたくさん出来ていた。彼はそれを気にしていてくれたのだ。
とっても優しく気が利くいい子だ。
一緒に旅を続けて、段々彼の性格やクセが解ってきた。興味のある会話ない会話、好きな食べ物嫌いな食べ物、優しいがとても強い信念を持っている、何より笑える会話が好きということ。
笑いに関しては、彼と私の笑いの『ツボ』がまったく一緒だったこと。これより先は爆笑珍道中になることを予感していた私であった。
山下さんと宮本くん
本堂まで続く長い階段
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