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笑いの苦行と獣道遍路

うさぎさんのお遍路道中記

作成日:2011年09月05日 訪問日:2011年08月31日
26番札所 龍頭山金剛頂寺


次の札所が本日最後だ。距離は4キロ弱、一時間かかる。
宮本くんと私が先に、山下さんがタバコ休憩のため後から来ることになった。
海は台風の影響を受けて今朝あたりから波が高い。
海沿いの景色を見ながら歩く。
すると彼が『股』について語りだした。
宮本談
男はたくさん歩くと股ズレが出来て痛いんだよね。女性と違って付いてるからさぁ。裏も痛くなるんだよ。
股ズレが出来たから、最初は痒み止めの薬を塗ったんだけど、ものすごくしみて痛くて大変だったよー。
今は皮膚の保護剤を毎朝股に塗ってるんだよ、こーして、こーやって、こんな感じで(がに股になり、塗る仕草を満面の笑顔で再現する)塗ったら2分乾かすの

聞いている途中から大爆笑である。笑い声を通り越し、肺が苦しい、ヒーヒーと声にならない笑いに陥った。
そう、何を隠そう私は笑い上戸なのだ。
涙を拭きながら、「もうわかったから、その話は止めてよねー」と懇願するも、彼は容赦なく実演を続けた。
「真面目に歩かないとお大師様に叱られるよ」と諌めると、彼は怪しげに笑う。
気持ちを引き締め、真面目に歩き出す。
私が彼に何かスポーツをやっているのか聞いてみる。
彼は山登りや、最近はマラソンにハマっているというスポーツマンだ。
ホノルルマラソンも走ることになっている。
これまでのマラソンの思い出を聞いてみた。
すると彼が『マラソンに参加したおばあさん』の話を語りだした。
宮本談
海外のマラソン大会でさぁ、おばあさんが参加してたんだけど、そのおばあさんが立ったままオシッコしてたんだよね。こーして、こーやって、こんな感じで(がに股になり、オシッコをする仕草を満面の笑顔で再現する)

さっきの股ズレの格好と同じだ。もう笑いで足が前に進まず、その場にへたりこむ。二人で笑い転げて一向に前に進まない。
周りから見たら、暑さで気の狂った遍路にしか見えないだろう。
彼を叱り、もうこの話はしないと誓わせ再び歩き出すが、目が合うと笑いがこみあげ我慢出来なかった。
完全に遊ばれている私なのだ。

そうこうしている内に、山下さんが追い付き三人で登山口へ入る。標高はそれほど高くないが、足場の悪い山道が1キロ弱続いた。
そして午後3時に二十六番札所へ到着したのだ。
この間、笑い転げて景色を全然見る余裕がなかったが、笑いも苦業の一つだったのかもしれない。
とにかく、心を落ち着けて、彼の顔を見ないように(また笑ってしまうので)、本堂、大師堂へお参りをした。
納経を済ませ、しばらく休憩。彼と地図を見ながら今からどこまで歩けるか検討することにした。
宿がある田野町まではまだ18キロある。今の時刻では夜遅くなるため、午後5時を目安にし、そこからバスで宿まで行き、翌朝またバスで戻ってくる作戦にした。
山下さんはこの金剛頂寺の宿坊に泊まる。
ここでお別れとなるかもしれないので、最後の挨拶をした。すると山下さんが「明日も会うから大丈夫」とおっしゃる。やはり縁がありそうだ。

時刻は3時半、宿に向け出発した。
来た方角とは反対に進んだハズが、気が付くと登ってきた遍路道の入り口に着いた。
間違ったことに気付き、引き返して仕切りなおす。
下山して、まず目指すのは道の駅キラメッセだ。頑張ったらかき氷を食べさせてくれる約束をしていたのだ。下り坂を歩きながら、「私はやっぱりいちごミルクかなー」、彼は「僕はメロンにする」。楽しみだ。

しばらく歩くと山道になり、終には道が無い。草むらが二手に分かれているだけだ。さて、どっちへ進むべきか、悩んでいると『遍路札』が木にぶら下がっているのが見えた。
「あっちに遍路札があるよ」私が指差したが、どう見ても道?というか獣道?
行ってみることにした。
草が生い茂り、足場がかなり見辛く不安定だ。
彼が先に行こうとしたが、捻挫してやっと良くなったばかりの足が心配だったため、意を決して虫嫌い&怖がりの私が先を歩くことにした。
金剛杖で足場を確認しながら草むらを進む。暫く人が通ったような痕跡の無い道を進んだ。程なくして、山道が現れホッとした。
無事下山し道の駅に着くが、望みのかき氷は売っていなかった。
残念がる私に彼がぶんたんジュースをお接待してくださった。少し甘くて美味しかった。
ここでバスの時刻を確認し、時間の許す限り、先にあるバス停をどんどん目指すことにした。
国道を歩き始めて30分を過ぎたころ、彼の携帯が鳴る。宿のお母さんが迎えに来てくれるというのだ。しかも私達が完全歩き遍路であることを知ると、翌朝同じ場所まで送ってくださるとおっしゃるではないか。
あんなにおバカな話をしていた不真面目な遍路を、お大師様は決してお見捨てにはなっていない。
ありがたくお接待を受けることにした。
途端、心に余裕が出来たのか、私は立ち止まり海を眺めていた。それを見て彼が「迎えにきてもらえるって決まった瞬間、余裕かますよねー」と笑う。
そう、私はお調子者のマイペースなのだ。
またワイワイ話ながら歩みを進めた。
吉良川町の西ノ川を越えたところに東屋があり、疲れたので彼に休みをいただいた。
ザックを下ろし、ぐったりしていると彼が近くのスーパーでアイスを買ってきてくださった。
続けて、近所の青年がお接待だと、パンを一袋私に渡してくださり、頑張ってくださいと応援してくださった。
彼や四国の皆さんに守られている、とても嬉しかった。
すると突然雨が降り出した。あのまま歩いていたら濡れていたに違いない。
ここで宿からの迎えを待つことにした。
時刻は午後5時半、だんだん日が傾くのが早くなっていた。

 
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宮本くんからいただいたアイス、感動の美味しさだった

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